ALS（筋萎縮性側索硬化症）を患った女性から依頼を受けた、医師２人の嘱託殺人の報道を受けて、とても他人事ではない事件だと思い、複雑な気持ちになってしまった。この事件の加害者医師２人を庇う気持ちはさらさらないが、ALS患者の女性の気持、そして自分がその立場に置かれた時のことを考えると「う～ん」となってしまう。スイスなど欧米諸国では安楽死、尊厳死が認められているところがある。私が同じALSを患ったら、どうかと言ったら多分ALS患者の女性と同じ気持ちになるだろうと思う。この同じ気持ちと言うのは誰かに嘱託殺人を依頼するのでなく、(次からは私の独断と偏見です)これから治癒する見込みがなく、身体が自由に動かすことが出来ず、何もかも周りの人たちの世話にならなければならない、そして毎日が苦痛であるなら延命治療をやめて欲しい。たぶんこんな気持ちではなかったのかと思う。もちろん人それぞれであり、れいわ新選組の舩後靖彦参議院議員などは重度のALS患者でありながら、国政に打って出ているのである。驚きの精神力の持ち主である舩後さんのように、不自由な身体でも、自分が出来ることにポジティブな気持でチャレンジする方もおられるし、そうでない方もおられる。どちらが正しいかではなく、私はどちらも正しいと思う。

この世に人間として生命を受け誕生することは奇跡的なことであり、ありがたい生命はこの世で最も尊いものであると思う。だから自殺者の報道があった時には、「なぜ命をもっと大切にしないのか、死ぬくらいの気持ちがあれば、もっと頑張れるのではと・・・」短絡的に思っていた。自死に至るまで精神的に相当な葛藤があるのだろうし精神状態も尋常でないと思う。しかし、私はそれでも自殺行為は反対である。ALS患者の女性の死に対する思いと同質ではないと思う。身体が自由にならず、肉体的、精神的に苦痛が伴い、周りの世話がないと生きていけない。また衰弱した容姿を晒したくない、プライドがズタズタな気持ちになる等々、他にもいろいろな気持ちがあるだろう。現状の日本の医療法制化では安楽死、尊厳死は認められていない。私は家族に延命の為の胃瘻造設はしないで欲しいと言っている。妻もそうして欲しいと言っている。生命を粗末にする気持ちは全くないが、これからの超高齢化社会が進むと、終末期医療の在り方が今のままでは不十分だと思う。本人の意思表示が明確ならば、安楽死・尊厳死を認めてもいいのではと思う。２度と同じ事件が起こらないためにも、国会で大いに議論してもらいたい。